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【スイスドイツ語④】be動詞の現在完了形”gsi”の使い方と標準ドイツ語との比較

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目次

標準ドイツ語ーbe動詞の過去形

すでに標準ドイツ語をご存知の方は【スイスドイツ語ーbe動詞の過去形”gsi”】まで飛んでください。

標準ドイツ語でbe動詞の過去を表す方法は、過去形を使う方法と現在完了形を使う2種類あります。ちなみに英語と違って、ドイツ語では過去形と現在完了形に意味の差はありません。どちらもただ過去であることを表します。ただし、標準語ではBe動詞の過去を表すときは現在完了形ではなく、普通の過去形が使われることが多いです。スイスドイツ語では過去を表す際には過去形ではなく、現在完了形が使われます。

be動詞過去形 war, warst, waren, …

人称代名詞seinの過去形
ichwar
duwarst
er/sie/eswar
wir waren
Ihrwart
sie/Siewaren

例文

(主文)一般動詞やbe動詞現在形と同じく2番目にきます。

・Ich war gestern in der Schule.
 私は昨日学校にいました。

・Sie waren sehr müde nach dem Kurs.
 彼らは授業の後とても疲れていました。

(副文)一般動詞やbe動詞と同じく副文の中では最後にきます。

・Er hat gestern nicht Deutsch gelernt, weil er sehr müde war.
 彼は昨日とても疲れていたのでドイツ語の勉強をしませんでした。

be動詞現在完了形 sein – gewesen

一般的な文ではbe動詞が2番目に、”gewesen”は文の最後にきます。

人称代名詞現在完了形
ichbin – gewesen
dubist – gewesen
er/sie/esist – gewesen
wir sind – gewesen
Ihrseid – gewesen
sie/Siesind – gewesen

例文

(主文)be動詞現在形と同じく2番目にきます。

・Ich bin gestern in der Schule gewesen.
 私は昨日学校にいました。

・Sie sind nach dem Kurs sehr müde gewesen.
 彼らは授業の後とても疲れていました。

(副文)副文の中では最後にきます。この場合gwesen sein の順番です。

・Er hat gestern nicht Deutsch gelernt, weil er sehr müde gewesen ist.
 彼は昨日とても疲れていたのでドイツ語の勉強をしませんでした。

スイスドイツ語の日常会話やSNSでよく聞く・見かける“gsi”(グスィ)は、上記の標準ドイツ語現在完了形の”gewesen”とほぼ同じです。

過去の事象を表す際にbe動詞の現在形とセットで使われます。

上記でも書いた通り、スイスでは基本的に過去の事象を表すときは過去形ではなく「現在完了形」を使います。これはbe動詞だろうと一般動詞だろうと同じです。

ちなみにスイスドイツ語の人称代名詞とbe動詞については別の記事で説明してますので是非こちらも参考にしてください。

人称代名詞過去形現在完了形
igbi – gsi
dubisch – gsi
är/sie/esisch – gsi
mirsi – gsi
dirsid – gsi
sie/Sindsi – gsi

主文での使い方

標準ドイツ語の現在完了形 “sein – gewesen” と同様主文の2番目にbe動詞の現在形が、主文の最後に”gsi”が来ることが多いです。スイスドイツ語は話し言葉ですので間違いとか正しいとかはありません。ちなみに”gsi”が必ずしも最後にくることはないようです。

例文

・Ig bi geschter i dr Schuel gsi.
 私は昨日学校にいました。
 *geschter (ゲシュテ)= gestern, i = in, dr = der, Schuel = Schule

次の例文のように”gsi”が文章の途中に入れられているのもよく見かけます。

・Sie si sehr müed gsi nach em Kurs.
 彼らはとても疲れていました、授業の後。
 *müed (ムュエットゥ)= müde, dem = em

・Sie si sehr müed nach em Kurs gsi.
 彼らは授業の後とても疲れていました。

ただし、be動詞とgsiの間には必ず状態を表す言葉(場所、形容詞、名詞など)が1つ以上入ります。例えば以下のように”si”と”gsi”が隣り合っている文章は意味を成しません

× Sie si gsi sehr müed nach em Kurs.
 彼らはていた授業の後疲れ。

日本語で考えてみると分かりやすいです
be動詞=「は」“gsi” =「だった」と考えると「私あの人のせいでとても気分が悪かった。」がとても自然な文章ですが、会話調の時は「私()とても気分が悪かったんだ、あの人のせいで」でも問題ないですよね。でも「私(だったとても気分悪い、あの人のせいで」はおかしいですよね。

 

副文での使い方

標準ドイツ語の現在完了形 “sein – gewesen” と同様副文の最後に《be動詞現在形+gsi》のセットがきます。

標準ドイツ語の復文では、〜 gewesen sein. の順ですが、スイスドイツ語は人によってどちらを先に言うか好みがあるようです。夫はgsiが最後にくる方が自然に聞こえるそうです。

言葉では説明しにくいので実際に例文を見てみます。

例文

・är hät geschter nid Dütsch glernt, wüu är sehr müed isch gsi.
 彼は昨日とても疲れていたのでドイツ語の勉強をしませんでした。
 *hät = hat, Dütsch = Deutsch, glernt = gelernt, nid = nicht, wüu = weil, müed = müde

“gsi”と”isch”の位置を入れ替えて “är hat nid geschter Deutsch gelernt, wüu är sehr müed gsi isch .” でも間違いではないそうです。

・Ig bi sehr bsorgt, wüu du chrank bisch gsi.
 私はあなたが病気だったので心配です。
 *bsorgt = besorgt, chrank = krank

・Mir si sehr trurig, wüu du nid hie bisch gsi.
 私たちはあなたがここにいなかったのでのとても悲しいです。
  *trurig(トゥルーリッグ)= traurig, hie = hier

・Sie isch sur, wüu dir geschter sehr unhöflich sid gsi.
 昨日あなた達がとても失礼だったので彼女は怒っています。
 *sur = sauer

Wenn ig 10i bi gsi, bisch du 18i gsi.
 私が10歳だった頃、あなたは8歳でした。
 *スイスドイツ語では年齢や時間などを数字で言う際に「〜ni/i」をつけます。10歳は”zähnni”(ツァーニ)と発音されます。

スイスドイツ語”gsi”ってなんだか発音しにくいし、スイス人が言っているのを聞いた時もなんか耳に引っかかるんですよね。

飲食店に行くとよく”guet gsi?” と言われたり、SNSでもよく見かけてこの”gsi”はなんだろうとよく疑問に思っていました。

ということで今日は”gsi”についてまとめてみました。ちなみに私が住んでいるのはベルン地域です!細かい単語や綴り方など個人・地域によって異なりますが、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

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プロフィール

スイス人夫とスイスで生活している平凡な日本人です。
趣味は海外旅行で、とにかく観光が大好きです。
「痒い所に手が届く"お役立ち"情報」をモットーに《スイス観光情報》や《スイスでの生活に関すること》などを主に発信しています。

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